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森への入口 其之弐

 

 来た道を少し戻り、別れ道へと入る。





道の奥には神社があり観光地にもなっている。
神社へお参りした後は写真をサラッと数枚撮って駐車場へ戻る。

 


と言ってもこれで終わりではない。
駐車場の奥には山の上の方へと続く林道の入り口があり、その林道の先には滝がある。
少し肌寒い感じだったのでフリースジャケットを羽織り滝に向かって歩き始める。
道のりは1.3km、砕石を敷いた砂利道だが所々鋪装もされている。
歩を進めるにつれ体が温まり、暑くなってきたので上着を脱ぎ腰に巻く。
擦れ違う人々が時折「こんにちは」と挨拶してくれる。
それらの人は如何にも観光客といった格好ではなく、何人かはトレッキングポールを手にしている。
ああ、これが山の挨拶なんだなと思いつつ、こちらも同じように挨拶を返す。


 


辺りの景色を眺めながらゆっくり歩いていると、やがて林道の脇にトイレがあるのが見えてくる。
トイレを過ぎると小さな鳥居がある。まだまだ林道は先へ続いてるようだが、そこが滝へ続く道への
入り口である。鳥居をくぐるとそこから階段状の道が続く。
日頃の運動不足が祟ってか少々息が上がる。
まだかまだかと思いつつ上って行くと木道があり、その傍らには滝まであと100mとの標がある。

 


更に息は上がってきたがあと一息だと思い、足を速め滝の目の前まで辿り着く。

 

   


滝の前には大きな岩があり、黄昏れているんだか自然のエネルギーを体内に取り込んでいるんだか
滝に宿る神秘と対話しているんだかは分からないが、若い男性がその上で静かに座っている。
多分そこが滝を見るにはベストポジション。しかし、いつまで経っても移動する様子がないので
その後ろにある四阿へ移動し、上がった息を整えながら暫し滝を眺める。
日本全国に知れ渡っているような有名な滝ではないが、それなりに迫力はある。
何ともいえない不思議な感じもあり、古来から人々が畏敬してきた理由も分かるような気がした。


滝を見上げた視線を下の方に下ろしてくると、そこには2本の丸太を縛って作った小さな橋というか
足場が滝を横切るように渡してあり、そのすぐ先にこの山の天辺まで300mとの表示がされている。

 「行ってみようかな?」

滝の辺りからは天辺まで見通せないが、結構急な斜面であることは予想出来た。
自分以外にも人が何人か居たが、誰もこの先へ進む様子は無い。
ここからまた駐車場まで下りて行くことも考えると、運動不足の自分にはちょっとキツイかなと
思ったが、途中休み休み行けばいいやと意を決し登ることにした。


初めのうちは階段状の道。
しかしそれもやがて終わり、両手も駆使し立ち木や地表に露出した岩と木の根を手掛かり
足掛かりにしないと登れないくらい急になる。
慎重にゆっくりと登っていくのだが段々脚が上がらなくなってくる。
息も上がってくるので緩やかな所で腰を下ろし一旦休憩。額から汗が滴り落ちる。
平地の300mとは違うということは覚悟の上。しかし、それでも思ったよりもキツく諦めて
下りようかとも思ったが、上を見上げるとあと少しのようなので上がった息が整うのを待ち
また登りだす。


途中2ヶ所の鎖場と、滝の流れに近付けるポイントがある。

  

   


2つ目の鎖場を超えると剥き出しになった大きな岩があり、そのすぐ先が頂上だった。

  


祠に賽銭を置き手を合わせてから、周囲を見渡す。

 

   


さっきまでのキツさも一瞬でふっ飛び、爽快な気分。
有名な山ではなく標高も低く、本格的に山をやってる人から見れば鼻で笑われてしまうような
程度かも知れないが、達成感は充分感じられた。
達成感を感じられたのは久し振りの事なのである。


   つづく
by swedishcooker | 2009-10-14 20:00 | 森への入口
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