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空の機嫌と休みのタイミング 其之参

このキャンプ場は直火OK。
だからと言って焚き火痕を残すのは忍びない、というか折角用意したのに
前回使わなかったピッカピカのままの焚火台を早く使ってみたかった。

テントから少し離して置いた焚火台に、新聞紙をクシャクシャにして乗せる。
念の為その上に固形の着火剤を一片、更にその上に3ミリほどの薄い薪を乗せ火を着ける。
薪はキャンプ場で買ったもの。焚きつけ用にわざと入れてあるのか、薄い板状の物が多く含まれている。
メラメラとオレンジ色の炎が上がった。 細めの薪から順に焼べていく。
ソロだからSサイズでいいかと思った焚火台だが、売っている薪では長く
対角線上に置いても少しハミ出てしまう。
薪を焼べたままにしておくと、そのハミ出た部分が燃え残り地面にポロッと
落ちてしまうので目が離せない。手間の掛かる奴だ。

静寂の中、パチパチと燃える音だけが聞こえる。
闇の中、この灯りだけが周囲を照らす。
冷えた空気の中、この炎だけが近寄るものを温める。
何も考えず、ただ炎を見つめる。

焚火の前で椅子に座りボーッとしていると、顔にポツンと冷たいものが・・・。
雨が降ってきた。 天気予報はアテにならない。 というか山間部だからそんなこともあるか。
雨具を使わなくても平気な程度なのでそのまま焚火続行。
ホッとしたのも束の間、あの小さな文明の利器が音を鳴らして日常の世界へ引き戻す。
「ゲッ、また仕事の連絡か?」
恐る恐る携帯を手に取り、通話ボタンを押す。 するとそれは中学時代の同級生からの電話。
あの詩人が愛した郷土からの電話。
久し振りに皆で集まってるらしい。訛っていて聞き取りづらい部分もあったが
声が聞けて嬉しかった。唯一の心の拠り所。

話し終えて気が付いた。雨が微妙に強くなってきている。
折角の焚火、「このぐらいで挫けてたまるか」と残った薪を全て火に焼べ火勢を強める。
やがて炎が消え熾き火が僅かに赤みを残す頃、雨脚が強まる。
そして夜も更ける。

つづく

 ※Oct 25 2008 修正加筆
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by swedishcooker | 2007-10-30 22:01 | 空の機嫌と休みのタイミング

空の機嫌と休みのタイミング 其之弐

ここへ来る途中に食材を買わなかったので、車で買い出しに向かう。
またしても何を食うか迷い、スーパーの店内をあっちこっちウロウロ。
で、結局前回と一緒で肉を焼く事に。
迷ったら肉、考えるのが面倒なら肉。 今後、毎回肉になりそうな不安。

キャンプ場へ戻って来るともうすっかり陽は落ちてしまった。 が、まだ晩飯には早い。
普段本など読まないが、この日の為にと買っておいた本をランタンの灯りを頼りに読む。
郷土を愛した東北の詩人の本。
旧仮名遣いと古い漢字に苦戦しているうちに辺りが濃い闇に包まれてくる。
読み耽っていると突然「ジャポッ」と魚が水面を跳ねる大きな音。思わず身体がビクッと反応してしまう。
時折、すぐ傍の鉄橋を渡る列車のけたたましい音。
田舎の単線、せいぜい2両か3両編成なので音はすぐ消え去ってしまう。 風情の範囲。

そろそろ腹が減ったなと晩飯の準備。 スウェーデン飯盒で米を炊く間に炭を熾す。
前回より少し炭が太いせいか着火しにくい。 仕方なしにトーチバーナーで念入りに炙る。
飯盒の蓋を開け炊け具合を確認、まだちょっと水分が多いかな。暫し待って火から下ろす。
肉を焼き始める。 前回よりは安い肉、しかし今回は牛タンもある。
蒸らした米を茶碗によそうと、飯盒の底の方が少し硬くコゲがちょっと多い。
「ああ、やってしまった」 でも食える程度なので気にしない。
肉を口の中に放り込み、すかさず米を頬張る。 「ああ、ハーモニー!」

 

焼肉で肉ばかり食う奴は信用出来ない。米とオカズの組合わせ、これこそ日本人の幸福。

腹が苦しくなるまで食ったら、次は前回出来なかった焚き火だ。

つづく

 ※Oct 25 2008 修正加筆
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by swedishcooker | 2007-10-27 12:14 | 空の機嫌と休みのタイミング

空の機嫌と休みのタイミング 其之壱

10月20日、やっとこの2つが合致したので出発。
フトコロが厳しいのと遠くまで出掛ける気力が無かったので、向かったのは県内。
県北の山間部、川沿いのキャンプ場。

人の良さそうな旦那さんに受付で料金1,570円を支払い、場所選びの為に場内散策。
炊事場の流しや竃など設備の数は豊富にあるが、少々古臭い雰囲気で雑然としている。
昭和の匂い。さすが40年続くキャンプ場。こういう雰囲気は嫌いではないが。

河原は溜まった砂が締まっておらず、4駆以外の車は乗り入れない方が良いとの事なので
そこを見渡せる一段上の場所にテントを張った。

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鮭が遡上して来ていると聞き川に行ってみると、まず目に付いたのはその死骸。
6,7体、いや、もっとあっただろうか、そしてその周囲を泳ぎ回る鮭3匹。
ここまで上って来る困難を物語るかのように、身体のあちこちが傷付き白く変色している。

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子孫を残そうとする本能、生と死、柄にもなく感慨に耽ってしまった。
時間が過ぎるのも忘れ写真を撮りながら場内散策。もう陽が落ちそうだ。

つづく

 ※Oct 25 2008 修正加筆
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by swedishcooker | 2007-10-27 12:00 | 空の機嫌と休みのタイミング

天神様の細道? 竜神様の細道

ウズウズが始まったものの、なかなかキャンプに行くタイミングが掴めない。

仕事、天気・・・。
特に天気は「女心と秋の空」、天気予報なんてアテにならない。
雨の中でキャンプする根性はまだ無い。

この鬱憤を晴らすべく車を走らせた。アテも無く。
毎度の無計画、取り敢えず北に向かう。
とある河畔のキャンプ場でも見て来ようかなと思い、付近まで行くが入口の道を見つけられず。
来た道を戻るのも何なので先へ進む。段々と道が細くなる。
クネクネ昇り坂と思ったら山道。隣の県名が書かれた看板に出くわす。
県境を超えてしまった。

山道というのは何度通ってもワクワクする。
鬱蒼とした木々に包まれ薄暗く、時折現れる岩肌に苔がみっしり生えてたりする。
なんとも言えない雰囲気だ。
山を降りるとさっき通って来た道へ続く国道。少し行くと小さな蕎麦屋発見。
天ぷら蕎麦を食う。せっかく秋なんだから茸蕎麦にすれば良かった、失敗。

暫く走ると「○○まで○○km」と観光スポットの案内看板が目に入る。次の行き先決定。
ちょっとした山を登り駐車場到着。
そこはダム湖の上に掛けられた吊り橋。車で渡る事は出来ない。しかも有料。
以前メディアで金の無駄遣いとして取り上げられた事もある橋。
折角来たので300円払い橋を渡ってみる。

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山の上なので眺めはまぁまぁ良い。

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橋を渡り切ると、突き当たりの左奥にダム湖のそばまで降りられる階段発見。
結構距離がありそうだったが、壮年の男性と肌の露出の多いアジア人女性の
カップルが降りて行くのにつられて降りてみる。
思ったよりも距離がある、途中階段がかなり急だったりもするが下まで降りた。
ここまで来る人は少ないようだ。

そこはひっそりと静まり返っていた。せいぜい聞こえるのは水鳥が立てる水の音ぐらい。
人工湖とは言え、山に囲まれ静まり返った湖は神秘さを感じさせる。

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これまた何とも言えない雰囲気だ。ここまで降りて来て良かった。
ダム湖周囲を歩き、その雰囲気を暫し堪能。
上に見える橋がとてもくだらない物に思えた。

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陽は傾き山向こうへ隠れてしまった。

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そろそろ帰ろうか。
そう思ったとき肝心な事を思い出した。
帰る為にはあの長い長い階段を上らなければならない。

 「行きは良い良い帰りは怖い 怖いながらも通りゃんせ通りゃんせ」

おわり

 ※Oct 25 2008 修正加筆
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by swedishcooker | 2007-10-16 23:48 | その他

それは唐突に 其之伍

飯は食った。さて、何するか。

何もする事が無い。
キャンプ自体が目的で、まだアレをしたいコレをしたいというのは無い。
燃料の残ったアルコールバーナーに火を点けボーッと眺める。数分で燃え尽きる。
まだ赤みの残った炭を弄る。炭の欠片が灰になるにつれ夜も更ける。

いくらか周囲も静かになってきたので、ランタンの灯を落とし
テントに入り眠ろうとするがまだ暑い。
奥の方のサイトから時折話し声も聞こえる。
またもや眠れず悶々とする。うつらうつらしては目が覚める。
それを何度か繰り返すと、ようやく涼しくなりシュラフに潜り込む。
すんなり寝付く事が出来るならば、床に就いてから眠りに落ちるまでの間が至福の絶頂。

朝早く目覚める。
テントの入り口を開けると清々しい景色が広がる。空気も澄んでいる。
昨夜眠れず悶々としたのが嘘のように爽やかだ。
まだ周囲は静けさを保っているので、シュラフに潜ったまま暫し景色を眺める。
もう一日この爽やかさを味わいたいが、帰らなくてはならない。実に名残惜しい。

インスタントでも美味しく感じるコーヒーを飲み終え、道具を片付ける。
テントを撤収し車に積み込む。サイトを整え受付に挨拶をし
後ろ髪引かれる思いでゲートを出る。

このまま帰路に立つのも勿体無いので、もう一か所候補にしていたキャンプ場を下見するため
山の裏側へと車を走らせる。
ここも湖畔だが湖水面より遥かに高い場所にあり眺めも良い。

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「うん、次に来る時は此処にしよう」

こうしてキャンプ再デビューを果たした。
無計画で唐突ではあったが、それもソロの強みだろうか。
きちんと計画を立てて出掛ける人が殆どだろうが、自分の場合
無計画的な方が向いている気がする。

二週間前の出来事を書いている今、またウズウズが始まった。

おわり

 ※Oct 25 2008 修正加筆
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by swedishcooker | 2007-10-02 13:16 | それは唐突に

それは唐突に 其之四

1時間ぐらい眠っただろうか。 携帯の着信音で目が覚める。
明後日仕事が入ったとの連絡だった。
取り敢えず1泊してみて、良かったら連泊しようかなと思っていたのだが
何が何でも明日帰らなきゃならなくなった。
残念だが仕方がない。

いつの間にか風が吹いている。 焚火をしたくて薪と焚火台を持って来ていた。
自分が居る区画はどうやら風上のようだ。
どうしようか迷ったが、他のキャンパーを煙で燻す訳にもいかないので中止する事に。

薄暗くなって来たのでランタンを灯し晩飯の支度をする。
メインランタンはコールマンのフロンティア・スタンダードCPS。
これを選んだ理由は単に在庫処分で安かったから。
テーブル用に買ったのは同じくコールマンのトレッキングランタン。
小さい割に明るいようなので購入。マントルはフロンティアと共通だった。
どちらも使ってみて特に不満は無い。

晩飯のメニューは焼肉と卵スープ。 米を炊き始めると同時に炭を熾す。
米炊きに選んだ道具はスウェーデン軍のメスキット。巷で「スウェーデン飯盒」と呼ばれる物。
風防兼五徳と飯盒、燃料ボトルそしてトランギアのアルコールバーナーがセットになっている。
自宅で何度か米炊き練習したので不安は無い。

焼肉に使うのはネイチャーストーブS。
炭熾しが初体験なので少々不安ではあったが、着火剤とトーチ併用で難なく炭熾し出来た。
卵スープはフリーズドライなので湯を沸かすだけ。「さて、何で湯を沸かそうか」
スウェーデン飯盒の蓋で沸かす事も出来るのだが、炊いた米を蒸らすのに
飯盒を逆さまにしたため飯粒がこびり付きまくっている。これで沸かすのは気が引けた。
どうしようか考えながらテーブルの上を見渡すと、使ってないクッカーがひとつある。
試しにそのクッカーをスウェーデン飯盒の風防五徳に入れてみたらピタッと嵌る。
ちなみにそのクッカーはスノーピーク・チタンパーソナルクッカーセットの
中にスタッキングされた小さい方。

肉を焼き始め、炊きたて熱々の飯をクッカーによそう。
ランタンの光では肉の焼け具合がよく分からないが勘で焼く。肉を口に放り込み噛みしめる。

「旨い! 気絶しそうなくらい旨い!」

肉を飲み込まぬうちに白飯を口に入れる。肉とタレと米のハーモニー。
どこかの饅頭ではないが旨過ぎる。キャンプで食う飯がこんなに旨いとは。
汗だくになりながら晩飯を食い終え、あまりの旨さに暫し呆然とする。

つづく

 ※Oct 25 2008 修正加筆
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by swedishcooker | 2007-10-01 02:54 | それは唐突に