カテゴリ:空の機嫌と休みのタイミング( 5 )

空の機嫌と休みのタイミング 其之伍

朝方、車の音で目が覚める。

テントを張った場所と河原の間に川沿いの砂利道があるのだが、そこを早朝から車がガタガタと何台か通って行く。
すぐ近くに1台停まったようだ。ドアを閉める音がする。
暫くしてからモゾモゾ起き出し、川の方を見るとそこには釣人の姿。 左右見渡すと他にも何人か居る。
結構冷える朝だというのに川の中に置いた椅子に腰掛け、水に浸かりながら釣りをしている。
胸元まであるようなゴム長を履いて防寒もキッチリしているんだろうけど
ずっと水に浸かりっぱなしでは体が冷えそうだ。

湯を沸かし、そんな様子をボケーっと眺めながら熱いコーヒーをすする。
体は少し温まるものの足元が寒い。ここでアレの出番だ。
昨日ここへ来る途中、ホムセンで買って来たコールマンのクイックヒーター。
値段2,980円。暖められる範囲はそう広くはないようだが、思っていたよりも暖かい。 買って来て良かった。
コーヒー飲み終え朝飯の支度。普段朝飯は食わないが、冷える朝にもってこいと思い買っておいたうどんを煮る。
麺を袋から取り出し簡易アルミ鍋にあけ、水を注ぎダシ入れて煮るだけ。簡単でいい。
夢中で食うと額にうっすら汗が滲むほど体が温まる。

陽が高くなるにつれ気温もどんどん上がる。
昨夜の雨で濡れたテントとタープが乾くのを待ちながら、ダラダラと道具の撤収を始める。
道具箱にしている半透明プラスチックのコンテナボックス内をマジマジと見る。
持って来てはいるものの使わない道具が幾つか。次回は少し減らしてみよう。
タープが乾く。ちょこっとタープ、ソロには丁度いい大きさだ。
帰り道にどこか寄って行こうかと地図を見ながら考えているうちにテントも乾く。
テントを畳んでこれにて今回のキャンプ完了。

滝でも見てから帰ろうかな。

おわり

 ※Oct 25 2008 修正加筆
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by swedishcooker | 2007-11-12 02:04 | 空の機嫌と休みのタイミング

空の機嫌と休みのタイミング 其之四

雨は降らないだろう。

そう考えて出掛けて来たが甘かった。 火の消えた焚き火台と共に慌ててタープの下へ逃げ込む。
「まぁ、いいか、もうあとはやることないし」
取り敢えず椅子に座ると背中に雨垂れがダラダラ当たる。
タープを最初張った時、テントとの接合部に隙間が空いたのだが
雨は降らないだろうと考え、調整することなくそのままにしてしまったのが悪かった。

そのまま放置しても良かったのだが、まだ寝るには早く他にすることも無し。
雨脚が弱まってきた隙に頭にヘッドランプを装着、ペグを抜きテントを前にずらし
タープとの重なりを大きくする。
「うん、これで一安心」と思ったら雨脚は更に弱まり、ついに雨は止んでしまった。

拍子抜けしてしまったのでもう寝ることに。
「おっと、その前に晩飯の片付けが残ってる」
しかし水道の水も冷たそうだし時間も時間なので、明日洗おうとクッカーや飯盒をまとめる。
ランタンの灯を落としテントに入る。 テントの床面にはインナーマット代わりのポンチョライナー。
その上にロールマット、インフレータブルマット、シュラフの順に敷き寝る準備。
寒くて眠れないようだったら2枚重ねようと思い、予備のシュラフも持って来たが
どうやらひとつで済みそうだ。

着衣のままシュラフに潜り込む。下はジーンズ、上はTシャツの上にフリース。
瞼を閉じるがなかなか寝付けない。
段々暑くなってくる。耐え切れずジーンズとフリースを脱ぐ。それでも寝付けない。
普段寝付きは良い方だが、キャンプに来れた嬉しさで気持ちが昂ってるのだろうか。
まるで修学旅行に来た子供のようだ。
ラジオの音量を絞り、再度瞼を閉じるといつの間にか眠りに就いていた。

突然目が覚める。どれくらい眠っただろうか、まだ外は闇に包まれているようだ。
携帯で時間を確認すると深夜2時。トイレに行こうと外へ出てふと夜空を見上げる。

満天の星空。

吸い込まれるような漆黒の闇に浮かび煌めく沢山の星々。
そして身を引き締められるような冷たい空気。
尿意も忘れ、空を見上げたまま暫し呆然と立ちつくす。

つづく

 ※Oct 25 2008 加筆修正
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by swedishcooker | 2007-11-04 02:05 | 空の機嫌と休みのタイミング

空の機嫌と休みのタイミング 其之参

このキャンプ場は直火OK。
だからと言って焚き火痕を残すのは忍びない、というか折角用意したのに
前回使わなかったピッカピカのままの焚火台を早く使ってみたかった。

テントから少し離して置いた焚火台に、新聞紙をクシャクシャにして乗せる。
念の為その上に固形の着火剤を一片、更にその上に3ミリほどの薄い薪を乗せ火を着ける。
薪はキャンプ場で買ったもの。焚きつけ用にわざと入れてあるのか、薄い板状の物が多く含まれている。
メラメラとオレンジ色の炎が上がった。 細めの薪から順に焼べていく。
ソロだからSサイズでいいかと思った焚火台だが、売っている薪では長く
対角線上に置いても少しハミ出てしまう。
薪を焼べたままにしておくと、そのハミ出た部分が燃え残り地面にポロッと
落ちてしまうので目が離せない。手間の掛かる奴だ。

静寂の中、パチパチと燃える音だけが聞こえる。
闇の中、この灯りだけが周囲を照らす。
冷えた空気の中、この炎だけが近寄るものを温める。
何も考えず、ただ炎を見つめる。

焚火の前で椅子に座りボーッとしていると、顔にポツンと冷たいものが・・・。
雨が降ってきた。 天気予報はアテにならない。 というか山間部だからそんなこともあるか。
雨具を使わなくても平気な程度なのでそのまま焚火続行。
ホッとしたのも束の間、あの小さな文明の利器が音を鳴らして日常の世界へ引き戻す。
「ゲッ、また仕事の連絡か?」
恐る恐る携帯を手に取り、通話ボタンを押す。 するとそれは中学時代の同級生からの電話。
あの詩人が愛した郷土からの電話。
久し振りに皆で集まってるらしい。訛っていて聞き取りづらい部分もあったが
声が聞けて嬉しかった。唯一の心の拠り所。

話し終えて気が付いた。雨が微妙に強くなってきている。
折角の焚火、「このぐらいで挫けてたまるか」と残った薪を全て火に焼べ火勢を強める。
やがて炎が消え熾き火が僅かに赤みを残す頃、雨脚が強まる。
そして夜も更ける。

つづく

 ※Oct 25 2008 修正加筆
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by swedishcooker | 2007-10-30 22:01 | 空の機嫌と休みのタイミング

空の機嫌と休みのタイミング 其之弐

ここへ来る途中に食材を買わなかったので、車で買い出しに向かう。
またしても何を食うか迷い、スーパーの店内をあっちこっちウロウロ。
で、結局前回と一緒で肉を焼く事に。
迷ったら肉、考えるのが面倒なら肉。 今後、毎回肉になりそうな不安。

キャンプ場へ戻って来るともうすっかり陽は落ちてしまった。 が、まだ晩飯には早い。
普段本など読まないが、この日の為にと買っておいた本をランタンの灯りを頼りに読む。
郷土を愛した東北の詩人の本。
旧仮名遣いと古い漢字に苦戦しているうちに辺りが濃い闇に包まれてくる。
読み耽っていると突然「ジャポッ」と魚が水面を跳ねる大きな音。思わず身体がビクッと反応してしまう。
時折、すぐ傍の鉄橋を渡る列車のけたたましい音。
田舎の単線、せいぜい2両か3両編成なので音はすぐ消え去ってしまう。 風情の範囲。

そろそろ腹が減ったなと晩飯の準備。 スウェーデン飯盒で米を炊く間に炭を熾す。
前回より少し炭が太いせいか着火しにくい。 仕方なしにトーチバーナーで念入りに炙る。
飯盒の蓋を開け炊け具合を確認、まだちょっと水分が多いかな。暫し待って火から下ろす。
肉を焼き始める。 前回よりは安い肉、しかし今回は牛タンもある。
蒸らした米を茶碗によそうと、飯盒の底の方が少し硬くコゲがちょっと多い。
「ああ、やってしまった」 でも食える程度なので気にしない。
肉を口の中に放り込み、すかさず米を頬張る。 「ああ、ハーモニー!」

 

焼肉で肉ばかり食う奴は信用出来ない。米とオカズの組合わせ、これこそ日本人の幸福。

腹が苦しくなるまで食ったら、次は前回出来なかった焚き火だ。

つづく

 ※Oct 25 2008 修正加筆
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by swedishcooker | 2007-10-27 12:14 | 空の機嫌と休みのタイミング

空の機嫌と休みのタイミング 其之壱

10月20日、やっとこの2つが合致したので出発。
フトコロが厳しいのと遠くまで出掛ける気力が無かったので、向かったのは県内。
県北の山間部、川沿いのキャンプ場。

人の良さそうな旦那さんに受付で料金1,570円を支払い、場所選びの為に場内散策。
炊事場の流しや竃など設備の数は豊富にあるが、少々古臭い雰囲気で雑然としている。
昭和の匂い。さすが40年続くキャンプ場。こういう雰囲気は嫌いではないが。

河原は溜まった砂が締まっておらず、4駆以外の車は乗り入れない方が良いとの事なので
そこを見渡せる一段上の場所にテントを張った。

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鮭が遡上して来ていると聞き川に行ってみると、まず目に付いたのはその死骸。
6,7体、いや、もっとあっただろうか、そしてその周囲を泳ぎ回る鮭3匹。
ここまで上って来る困難を物語るかのように、身体のあちこちが傷付き白く変色している。

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子孫を残そうとする本能、生と死、柄にもなく感慨に耽ってしまった。
時間が過ぎるのも忘れ写真を撮りながら場内散策。もう陽が落ちそうだ。

つづく

 ※Oct 25 2008 修正加筆
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by swedishcooker | 2007-10-27 12:00 | 空の機嫌と休みのタイミング