このキャンプ場は直火OK。
だからと言って焚き火痕を残すのは忍びない、というか折角用意したのに 前回使わなかったピッカピカのままの焚火台を早く使ってみたかった。 テントから少し離して置いた焚火台に、新聞紙をクシャクシャにして乗せる。 念の為その上に固形の着火剤を一片、更にその上に3ミリほどの薄い薪を乗せ火を着ける。 薪はキャンプ場で買ったもの。焚きつけ用にわざと入れてあるのか、薄い板状の物が多く含まれている。 メラメラとオレンジ色の炎が上がった。 細めの薪から順に焼べていく。 ソロだからSサイズでいいかと思った焚火台だが、売っている薪では長く 対角線上に置いても少しハミ出てしまう。 薪を焼べたままにしておくと、そのハミ出た部分が燃え残り地面にポロッと 落ちてしまうので目が離せない。手間の掛かる奴だ。 静寂の中、パチパチと燃える音だけが聞こえる。 闇の中、この灯りだけが周囲を照らす。 冷えた空気の中、この炎だけが近寄るものを温める。 何も考えず、ただ炎を見つめる。 焚火の前で椅子に座りボーッとしていると、顔にポツンと冷たいものが・・・。 雨が降ってきた。 天気予報はアテにならない。 というか山間部だからそんなこともあるか。 雨具を使わなくても平気な程度なのでそのまま焚火続行。 ホッとしたのも束の間、あの小さな文明の利器が音を鳴らして日常の世界へ引き戻す。 「ゲッ、また仕事の連絡か?」 恐る恐る携帯を手に取り、通話ボタンを押す。 するとそれは中学時代の同級生からの電話。 あの詩人が愛した郷土からの電話。 久し振りに皆で集まってるらしい。訛っていて聞き取りづらい部分もあったが 声が聞けて嬉しかった。唯一の心の拠り所。 話し終えて気が付いた。雨が微妙に強くなってきている。 折角の焚火、「このぐらいで挫けてたまるか」と残った薪を全て火に焼べ火勢を強める。 やがて炎が消え熾き火が僅かに赤みを残す頃、雨脚が強まる。 そして夜も更ける。 つづく ※Oct 25 2008 修正加筆
by swedishcooker
| 2007-10-30 22:01
| 空の機嫌と休みのタイミング
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